愛 get pissed, destroy!

愛の怒りでぶっ壊してやる!

終わりの始まり

前のエントリに続きこちらも先日の話です。
以前は月に一度の頻度で訪れていた下北沢へ、一年ぶりに行ってきました。早い時間から酒を飲んで、日が暮れた頃に下北沢の片隅にある小さなライブハウスへ。
Sくんの所属していたバンドの、解散ライブでした。

 

 

昨年、Sくんが脱退したいと申し出た時、「Sがいないなら続ける意味はないから」とその時点で解散という話は出たそうなのですが、Sくんの「俺がいなくなっても続けて欲しい」という強い想いを受けて、バンドはSくん抜きで存続することになりました。
…というのが、Sくんが脱退した時に聞いていた話なのですが、残されたメンバーはやっぱり納得ができていなかったようで、「このメンバーでもう一度音源を作ってみて、その出来と結果に納得できなかったら解散しよう」という話をしていたそうです。そうして今年の夏にリリースされた音源はものすごく素晴らしいものでした。だけど、出来が良くてもそれに伴った“成果”にメンバーたちは限界を感じ、今回、解散が決まってしまったようでした。

Sくんが脱退する時、わたしは「例え脱退したって、このバンドに所属していたという事実は今後のSくんの人生から離れることなく一生付いて回るのだから、“あいつ、あのバンドでギター弾いてたんだって”と言われる時、後ろ指を指されるのではなく手を叩いて賞賛されていて欲しい」と思いました。だから、Sくんが脱退してもこのバンドのことを応援し続けようと*1思ったんです。それがステージを降りた推し・Sくんにできる、唯一の“推し事”だと思ったから。
だけどバンドは止まることを選びました。Sくんだけじゃない、残されたメンバーと、関わったスタッフと、このバンドを愛していたファンの中にあるそのバンドは、この先もう絶対に発展することはありません。音源はいつだって再生できるけれど、それはもうライブを経て成長することもない。息をしない。息を吹き返すことは、もう二度とない。

 


最後のライブ。正直やりきれない想いもたくさんあって、そんな中で行っていいのかなとか思ったりしたけど、でも最後だから行きたい、行かなきゃ!と思って。

結果、行って良かったなあって思いました。Sくんを抜きにしたってバンドのことは大好きで、バンドの音楽が大好きで。Sくんが脱退してから音が足りなくて出来なくなってた曲たちも、久しぶりにやってくれて。現体制で精いっぱいのアレンジをしてくれてて、確かに当時とは違う音だったけど、それでも鳴らしてる人・歌ってる人の想いは変わっていなかったから、そうそうこれこれ!って。懐かしんでたらメンバーが目を合わせてくるんです。「これ好きだったでしょ?」「待ってたんでしょ?」「楽しいよね?」とでも言うように。全部に全力で頷き返しました。うん!大好き!待ってた!楽しい!最高!!って想いを込めて。

途中、何度かSくんのことを思い出しました。「この曲のギターソロが格好良かったんだよなあ…」とか、「あの日この曲終わりに投げたピック、結局飛ばずにステージ落ちたっけw」とか、「この曲のこのタイミングで右手を挙げる癖、いつの間にかファンみんなにも移ってたな」とか。そこにSくんはいなくても、残されたバンドと楽曲には、確かにSくんが存在していたという証だと感じました。1年間、残されたメンバーはそれをどんな想いで守り続けてきたんだろう。考えたら感謝しかなかった。嬉しかった。

 

 

今回のライブを最後に、メンバーはバラバラになりました。まだ音楽を続けるつもりの人もいれば、これを機にミュージシャンを辞める人もいて。もう二度と会えない人もいるかもしれない。確かに推しはSくんだったけれど、Sくん以外のメンバーさんにだってたくさん幸せを貰った大好きな人であることには変わりないから、ちゃんと終演後しっかり感謝を伝えてきました。でも不思議ですね、みんなまた会える気がしたんです。Sくんとは今生の別れをしたつもりで「ありがとう」って言ったのに、今回は「ありがとう、またね」という気分だったし、実際に何人かにはそう言いました。そしたらちゃんと「またね!」って返ってきたから、ああ、また会えるんだなあって。

 

元々音楽が好きだったらから、Sくんが脱退してもこのバンドを応援していました。でも、Sくんの為に応援し続けていたというのも事実でした。ものすごく狡いし、残されたメンバーにはとても申し訳ない話だったけれど。でもこれで、わたしがSくんを推し続ける理由がなくなりました。ただの一般人でしかないSくんに、わたしが出来ることなんてもう何もありません。今までずるずるとバンドを理由に推し事を続けてきた“つもり”でいたけれど、これでSくんは完全に「元推しくん」になってしまいました。

不思議と、なんかすっきりした気分です。確かにSくんのことはまだまだ大好きだし、戻ってくるならまた応援したいと思っています。でも、やっと一区切り付けることができたような気がしています。

Sくんだけじゃなくて、このバンドに関わった人たちのこれからの人生が、素晴らしいものでありますように。たくさんの幸せをありがとう。忘れないよ。またね!

そしてSくん、今までありがとう。本当に心から、大好きでした。

 

 

*1:元々音楽が好きだったのもあるけど